俺はワクワクしていた
勿論好きな人に会えるのもあるがたまたま職員室で聞いた話があったから


教室の扉を開ける
今日も教室は賑やかだった
友達と昨日のテレビの話をして盛り上がる者もいれば1人で本を黙々と読む者もいる
俺は大体前者!
だと思っていたが最近は恋に目覚めた
それはまさに先程の後者のタイプであった富月癒音(ふづきゆね)

その恋愛感情に気付いてから俺の日課は毎朝癒音と会話する事
因みに今のところ友達止まり
何故って癒音は鈍感な上に弟愛な兄貴がいるから
ただそんな理由
単純だけど難しい問題
ある意味今までのテストより

ま、簡単に恋愛が進む事なんかないよね
毎日の日課であるお話タイムはとらせて頂くけど


「おはよ!
今日は何読んでるの」
癒音が今日読んでる本は何だか表紙が怪しげであった
何か怪しげと言うか…
禍々しい?

「痴漢撃退法」
特に表情を変える様子もない
あっさり答えられた不自然な答えに俺はため息をつく


「……自分で買ったの?」

聞かなくてもそんな訳ないとは理解してるが



「兄さんが昨日くれた」

「……」
うん、だろうと思った
予想通りの答えにもう一度俺は溜め息をついた




この時俺はすっかり忘れていた
明日くる転校生の話を癒音にするのを