ガタンゴトン
朝日が差し込む電車内はまだ早い時間なのか、数人しか乗っていない。
椅子も開いている中、鏡月誠(きょうつき まこと)は扉口に背を預けて立っていた。
「(そろそろ、着くのか…)」
誠は窓の外を見ると、遠くに大きな建物が見えてくる。
「(あれが、帝心南星(ていしんみなみぼし)学園……。
通称、異常能力者の学園……)」
~~~次は~帝南(ていなん)町~~~
電車のアナウンスに誠は荷物を持ち、扉口から離れた。
数分後電車は、帝南町に着き誠は電車から出て改札口に向かった。
「あっ、君!!
君が鏡月誠君だよね。」
改札口付近にスーツ姿の男性が誠に声を掛けた。
「そうだが。
誰だ?」
誠は、警戒をしながら尋ねた。
「私は帝心南星学園の教師で君の担任になった殿坂慎司(とのさかしんじ)。
君を迎えに来たんだ。」
「??
迎えに来るのは何か訳があるのか?
俺は、歩いて行くつもりだったんだが。」
誠の言葉に殿坂先生は、少し困った顔になり話した。
「実は、学園内では君の事は当日まで隠しているつもりだったんだけど…
何処からか情報が広まったのか、君の噂が広まってね。
朝速く来ると言っても、部活とかで速く来る生徒もいて、一人だと生徒達に囲まれるんじゃないかと真昼(まひる)理事長からのお話でね。」
殿坂先生の話に誠は呆れながら言った。
「学園はそれだけのことで、騒ぐなんて随分呑気なのか?」
「呑気というより、時期外れって事に騒いでるんだよ。
さっ、後は車の中で話そう。」
殿坂先生は歩き始め、誠もそれに続いていった。
殿坂先生の車に乗って、15分経って学園に着いた。
誠は車から出て校舎を見上げた。
「さぁ、ここが、今日から君が通う帝心南星学園だよ。
改めて、ようこそ。
まずは、真昼理事長に無事に着いたことを連絡しないと行けないから、ついてきて。」

殿坂先生も、車から出て誠の前を歩き始める。
誠も後に続こうとしたが、足を止めもう一度校舎を見上げる。
校舎からは、ちらほら窓から誠を見てる人影がいた。
「(ここでは、同じ能力者にでも、異端扱いか……)」
「誠君、どうしたんだい?」
「いや、何でもない。」
殿坂先生の声に誠は首を振り校舎に入っていった。


静寂な朝から始まる歪み

(所で、誠君。
今着てる制服は、見たところ前の学校のみたいだけど、此処の制服は?)
(昨日まで待ってた
が、届いかなくてこっちで着た。)