律夜が帰ったら後も誠は本を読んでいた。
日が傾き部屋が暗くなってきたことに気付き顔を上げた。
「(そろそろ食堂に行かないとな。)」
読んでいた文庫本を机に置いて立ち上がる。
文庫本の内容は何処にでもありそうなストーリーだった。
病を患っている主人公とその主人公の親友を書いた友情ものだった。
中学生の頃、久地階に渡された本で「読んでつまんなかったら捨ててもいいぜ。」と言われた本。
実際に読んで、誠はつまんない話と思った。
だけど何か気になり捨てないで、たまに読み返していた。
最後の結末もわかっている本を。
部屋の鍵と携帯をポケットの中に入れて食堂へ向かおうとした。
ビンッ!!
紐を張るような音が窓から聞こえた。
「?なんだ??
…………ッ!!!?」
音がした窓を見ると窓の外には、フェルトだか布だかで作られた人間と同じ位の人形が吊されていた。
いきなり現れた人形に誠はどう対処すればいいかわからずに固まっていた。
腕や足には継ぎ接ぎされている部分があったりするが問題はそこではなくリアルに造られた目が誠を見つめていた。
一分経過した頃にか、人形を吊っていた紐が切れたのか人形が落下した。
ドシャと地面に落ちた音に誠は我にかえって、ダッシュで人形が覗いてた窓を開けて下を見た。
「………………」
人形は地面に叩きつけられた衝撃で右腕がもげたのか、何処から出したのか針と糸で修繕し始めていて、今度はそれに呆然とした。
暫くして右腕が直ったのか針と糸をしまい、ヒョコヒョコと歩きながら何処かへ行ってしまった。
「…………………」
呆然と人形を見送り携帯を出して使わないと思ってた、黒上七のメールアドレスを出して数行打って送信した。


落下人形の目の先は何を見ている

(『件名 鏡月だが
本文 この寮はドッキリショー有りの寮なのか?』)