周りを見渡せば闇が広がっているだけ
それを俺は怖くはないし良いのだけれど…
ただ1つだけ気になったのは目の前で光る1つの光
そこには1人の少年が佇んでいた
俺は近寄った
そして触れた
いや、触れようとした
ただその少年には触れることは出来なくて何度も何度もただ馬鹿みたいに触れようとした

結局結果は変わらなかったのだけれど


「─っ!何で、何で!」
君に触れられない俺は無力だと実感する
君はこんなにも助けを求めてるのに…

いきなり足下が崩れて
世界は壊れて目の前の少年も消える

「待って!」
その声は届かない



目を開ければケータイが鳴っていた
画面にはメール着信のマーク
夢の世界から戻ってきたと認識するには十分だった



「……」
自分自身の手の平で頬に触れれば涙の跡があり思わず薄く笑った

とりあえず顔を洗おうと立ち上がり洗面所に向かう



「俺は無力だなぁ…」
その呟きは勿論誰も聞いてはいなかったのだけれど冷たく部屋に響いていた