空の青が妙に目を刺す。
口付けをされたせいか口の渇きがやたらと気になる気がして、優は制服のポケットからセロファンに包まれた飴を取り出し、口の中へ放り込んだ。
「甘ったるい…」
自分は甘党のはずなのに、なぜ今日は飴の甘さが煩わしく感じられるのだろうか。
ちら、と扉を見るが未だ秀が来る気配は無い。
自分もしなければいけない事があったはずだが、思い出すことが出来ない。
「意外と取り乱してるんだな、僕」
小さくなった飴を噛み砕き、嚥下する。
「早く、来ないかな」
普段見飽きる程顔を合わせているのに、妙に秀の顔を見たい、声が聞きたいと思った。
『ねえ、君は好きな人っている、』
先程会った先輩の声が頭の中を反芻する。
「…まさか、ね」
そんなはずはないと首を横に振り、扉の方へと向き直る。
がちゃりと音がし、開いた扉から見慣れた顔が現れ、思わず笑みが零れた。