放課後の総合生徒会室に聖二と夕火が書類整理をしているが、聖二は同じ書類を見て悩んでいるだけで、手は進んでいなく、痺れを切らした夕火は話し出した。
「なぁ、聖二。
書類全然減ってねぇけど、さっきから何悩んでんだよ?」
「ん?
これだよ。」
説明するのが面倒なのか、夕火に悩んでいた書類を渡した。
渡された『今年度総合生徒会生徒名』の書類だった、生徒名の所には聖二の名前を筆頭に総合生徒会に属する生徒の名前が書かれている。
「……これって、先週出した書類だよな?
何でまだ出してないんだよ?
期限過ぎてんじゃん。」
「提出したんだけど、真昼理事長が受理してくれなかったんだ。」
聖二は夕火の質問に答えながら、本棚へ向かい今年度一年生の名前が書かれているファイルと取り出した。
「文化祭が終わる頃まででいいから、一年生を総合生徒会に入れろと言われちゃってね。」
名前と写真と簡単なプロフィールが入っているファイルを見ながら聖二は話していた。
「去年の君や糸紙切(ししぎ)君みたいに道場破りして来る生徒がいればいいんだけど、いないんだよね。」
「いや、雨流(うる)君はともかく、俺のは道場破りじゃないからな。」
「そういえば、糸紙切君は?」
「図書室じゃねぇか?
推理物の新刊が届くって昨日言ってたから。」
「ああなるほど。」
ファイルを読み終わったのか、ファイルを閉じた。
「いい奴いた?」
「ファイルを見ただけじゃあんまりいないね。
ほんとは、糸紙切君にも意見を聞きたいんだけど、夕火は骨がある一年生に知り合いいる?」
聖二の問いに夕火は考えたて、何人か話した。
「さっきの、一年生はどうだ?
二人とも俺と同じで部活掛け持ちでやっていけばいいし。」
「1Aの川口瑞穂と葉山律夜ね……。」
聖二は閉じたファイルをもう一度開き、一時間前に来た二人を思い出した。
「(川口瑞穂は見掛けはいい加減そうな馬鹿に見えるけど、案外頭脳派な生徒で、葉山律夜は……何か隠している感じがしたな…。)一応、その二人は保留で置いておこうか。」
聖二は近くにあったメモ帳に二人の名前を書いた。
「後、他にはいない?
いないんだったら、この話は糸紙切君が来たらだね。」
「……」
「夕火?」
「…んあっ!
何だって?」
夕火はまだ何か考えてたようで、聖二の話を聞いていなかった。
「何か考え事してたみたいだけど、他に候補がいるの?」「いやっ、誠はどうだろうかなって。」
「誠って……鏡月誠君のこと?」
聖二に言い当てられて、夕火は気まずそうに話し出した。
「この昨日、第二科学室で知り合ってな…。
あいつ、まだ部活入ってないし、何なら此処に所属してもいいかなって……」
「ふーん、取材する前に知り合いになれたんだね。」
「ああ。
それに、誠はまだ能力の制御が出来てないし此処なら大丈夫かなって」
「なる程、確かに此処なら被害は余りないしね。
それなら、彼の能力はどれくらいか調べないといけないね。」
聖二はそういうと、メモ帳に誠の名前を書き加えた。
「調べるって、理事長に申請して測定機を借りるのか?」
「まさか、鏡月誠君は入院中に測定機を三台壊したって言うし、別の所から借りるつもりだよ。」
「別の所って…何処から?」
「科学工作部から。
確かあそこに、科学工作部が改造した測定機があるからね。
そこから借りる。」
「借りるって…」
「まぁ、僕に任せて。
借りるネタはあるから。」


次の日の昼休みに一つの放送が流れた。


選択前に下調べ


(1Cの紺野晶君と鈴木真也君。
昼食を食べ終わったら、総合生徒会室に来て下さい。
来なかったら、迎えに来るからね。)
(この声…聖二だ……。)