放送が流れている中、誠は屋上にいた。
教室にいても何も変わらなく昨日、夕火に連れてこられた屋上を思い出して此処にきた。
壁に背を預け誠は瞳を閉じて眠っているように見えたが、寝てはいない。その証拠に周りの空気が重くなっており、だんだん重みが増していた。
瞳を開けた瞬間、周りの重い空気が一気に拡散していった。
「やっぱり、自分だけで制御すんのは、楽じゃねえな。」
溜め息を付きながら、誠は立ち上がった。
立ち上がるのを待っていたように、携帯の着信音が響き渡り、誠は通話を押した。
『誠様
俺です。
先日送られたメールの報告を知らせます。』
「ああ、悪いな。
頼み事して。」
『いえ、誠様はお気にならず。
鏡月家に仕える身ですし。』
鏡月の名前が出た瞬間、誠の表情は暗くなったが、電話相手は気付いていない。
「……で、葉山律夜の情報は?」
『はい、誠様のクラスメート、葉山律夜は鏡月家と縁のある千里家の者で間違いないようです。』
「…葉山の中退理由は俺に関係することなのか?」
『其処までは分かりませんが、最近遥様が千里家に少し圧力をかけた様で。』
「用は兄貴がやったてことか…。」
『はい、また何かありましたら報告します。』
「ああ、また何かあったら、電話をくれ。」
『はい、それではこれで。』
電話相手はそう言って、電話を切った。
誠も電話を切り、教室に戻ろうとした。
が、何かの視線を感じ振り返った。
後ろは、反対側校舎で扉が閉まる所だった。
それを誠は予鈴が鳴る中見つめていた。


理由と報告の答えは


(誰か見てやがったのか……)