夜のナースセンターで休憩中の看護師達が話している。
「ねえ、この間退院した子、また来ちゃったわね。それにこの前入院して来たやたらキレイな男の子、あの子も帝南でしょ」
ここまで言葉を紡ぎ、手元にあったお茶を飲む。
すると違う看護師が
「何かあったんでしょうか。それとも偶然?」
と首を傾げる。
お茶を飲み終わった看護師が
「まあ、あの学校じゃ何があってもおかしくは無いわ。色んな噂がある学校だもの」
と口を歪ませる。
「噂ならうちの病院も負けてないですよ。なんて言ったって」
ともう一人看護師が皮肉げな笑みを浮かべる。

「何か変な話、聞いちゃったな」
手洗いへ行こうと病室の外へ出て来た真也が居心地の悪そうな顔で呟く。
他の能力系の学校に比べて良くない噂が多いのは事実だ。
だが、だからといって二人入院することぐらい他の学校にもあることじゃないか。第一俺はもう一人の入院患者が誰か知らない。
そう考え、手洗いへ向かう。

「夜の病院っていつまでたっても慣れないな」
用を済ませ、自分の病室へ戻ろうとするが、夜の病院独特の何とも言い難い不気味な雰囲気に体を震わせる。
「…早く部屋に戻ろう」
自分に言い聞かせるように呟き歩き出す。
少し歩き、ふと耳を澄ますと歌声が聞こえ、足を止めた。
こんな時間に、しかも病院で。と頭をひねるが歌声は確かに聞こえて来る。
歌声は自分の病室より進んだ所にある談話室から聞こえて来るようだ。
「さて、どうするかな」
歌声の聞こえる談話室へ行ってみようか。
普段は気にせずに談話室へ戻るのに、なぜかそんな事を考えていた。