パタンと静かに扉の閉まる音がした
時間としてはたった30分程度
だが二人にとってその時間はとても長く感じることとなった
ガタリという音と共に癒音は椅子から立ち上がる

手はギュと握りしめたまま
顔は下を向いている

「どうしたの」
先程まで一緒に話を聞いていたはずなのに七の顔はいたって普通だった


「ごめん」

「なんで謝るの」
またギュっと握る力が強くなった

「だって俺がおかしいから」
顔は下を向いたまま震えた小さな声が響いた




「ねぇ、俺のこと怖いでしょ」





「なんでそう思うの」
七は癒音の握りしめられた拳から一本一本丁寧に指をほどく

「あーあ、赤くなってる…」

「……」

手と手の温もりを感じて顔をあげると目が合った



「大丈夫だよ」

その微笑んだ顔を見て何故か涙が落ちた



─────



一方酒谷は教室を出る
クスクスといかにも楽しそうに笑っていた
もう自分の思い通り過ぎて笑えてしかたがない
ただそんな中、1つだけの予想外

チラリと自分自身の手を見つめる


廊下の角を曲がる
誰かとすれ違った
学校なのですれ違うなんて普通なのだが
その学生は長髪、赤い瞳だった

「あ…」
それに気付いて声がもれた


「酒谷くん
あんまりさ、勝手なことしないでくれる?」


静かな廊下で何かが始まろうとしていた