「で、どこ行くの」
「どこって病院だよ病院」

兄に引っ張られ連れ込まれたバスの中
兄の返答は予想外だった


「なんで?」
「知らね、この前の健康診断の再検査じゃね?」
茶羅も実はとある先生から行ってくれと指示をされただけ
場所と時間だけを伝えられた
あとは行けば分かるとしか返答はなかった

静かにどこかを見つめる茶羅に癒音は目線を向けた
先日の酒谷の話が未だに頭の中をまわっている

(あまり…思いだしたくない)
それでもグルグルまわる
先輩の話、そして七とのこと

「どうした」
ふ、と表情が暗くなったのに気付いて声をかける


「な、なんでもない」
声をふりしぼる

「ふーん、そっか」
また前を向きなおす




沈黙後、何かを感じた

「・・・・・・兄さん」
前を見てはいるが茶羅の手は癒音の手を握りしめていた

「俺が怖いんだよ、再検査」
珍しく気を使っているらしい兄に気がぬけた

「そう…」


だから返答をすると同時に癒音は手を握り返した