「瑞穂、熱い」 「俺にどうしろってんだよ」 初夏というにはまだ早いはずなのに、道野は盛夏ただ中にいるような心地だった。熱源はすぐ隣に座る友人である。 「なんで誰も注意してやらないんだろうな」 「してきてやれば」 「冗談、」 教室にいるほとんどが誠を遠巻 ...
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カテゴリ: 本編
05. 静寂な朝から始まる歪み
ガタンゴトン 朝日が差し込む電車内はまだ早い時間なのか、数人しか乗っていない。 椅子も開いている中、鏡月誠(きょうつき まこと)は扉口に背を預けて立っていた。 「(そろそろ、着くのか…)」 誠は窓の外を見ると、遠くに大きな建物が見えてくる。 「(あれが、 ...
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