カテゴリ: 本編

「瑞穂、熱い」 「俺にどうしろってんだよ」 初夏というにはまだ早いはずなのに、道野は盛夏ただ中にいるような心地だった。熱源はすぐ隣に座る友人である。 「なんで誰も注意してやらないんだろうな」 「してきてやれば」 「冗談、」 教室にいるほとんどが誠を遠巻 ... もっと読む

朝から元気よく教室に入ってきたガタイのいい金髪男 「よ、おはよ!」 「あぁ…茶羅か……」 沢村は読んでいた本から顔をあげた 「そーえばよー今日の朝練の時に見馴れない制服着てる奴が歩いてたぜ」 そんな話をふりながらパンをかじる 「転校生だろ普 ... もっと読む

ガタンゴトン 朝日が差し込む電車内はまだ早い時間なのか、数人しか乗っていない。 椅子も開いている中、鏡月誠(きょうつき まこと)は扉口に背を預けて立っていた。 「(そろそろ、着くのか…)」 誠は窓の外を見ると、遠くに大きな建物が見えてくる。 「(あれが、 ... もっと読む

夜もふけた頃、佐倉優は一人ベッドに横になり本を読んでいた。 ルームメイトの岩永秀が部屋の鍵を持たずに出かけてしまったため外出する事も寝る事も出来ないのだ。 本を読んでも苛立ちのせいで内容が頭に入って来ない。 「何やってんの、全く」 毒づいても苛立ちが増す ... もっと読む

「沢村さんをお願いします」 教室の入口から道野の声がした。すぐにクラスメイトが声を掛けてくる。 もううちの連中に顔を覚えられているようだ。中等部の頃からであるから、成績順、持ち上がりばかりのクラスでは当然と言えば当然である。 友人の弟自慢を聞くのも飽き飽 ... もっと読む

↑このページのトップヘ