ドアが開くとエレベーターの中から幼稚園児位の少女が二人、手を繋いで出て来た。 「おかあさん、もうすぐ退院できるんだって」 そんなことを笑顔で話し合う少女の姿に、皆少し緊張がとかれたような顔をする。 「でもおかあさんがいた七階って窓のお外すごくきれいだった ...
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カテゴリ:本編 > 本編(リオ)
67. 他愛ない会話か否か
「晶さんがお見舞いに来れないのは残念だろうね、真也さん」 病院行きのバスの中、佐倉優が隣の座席の岩永秀へ声をかける。 「まあ、無視が出来ない人達からの呼び出しがあったみたいだしね」 秀はそう言うと軽いため息をつき、鞄の中身を確認する。 鞄の中から白い封筒 ...
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63. 安寧は望めない
「鏡月君、まだ気分が悪いかい?」 未だ顔色の優れない誠に聖二が思い出したように声をかける。 「当たり前だ、そんな直ぐに良くなるかよ」 気分が優れないことも手伝って普段よりもぶっきらぼうな様子で返事をする。 「だろうね、保健室で休んだら?仲野君、案内してあ ...
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60. 近づきたくはなかった『 』
化学室の中、測定器を前に誠は浮かない顔で立ち尽くしていた。 「とうしたんだ?さっきから難しい顔して」 誠の様子を不審に思った夕火は誠の顔を覗き込み、声をかける。 「いや、そういや化学工作部ってこの間爆発事故起こした所じゃねえか。本当にそんな奴らの改造した ...
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