前方から激しい爆発音が聞こえた瞬間、葵は声をあげる間もなく駆け出していった。
「え、あ、葵ちゃん、」
数秒遅れてれおも後を追う。彼の鋭い嗅覚は、焦げ臭さの中から、甘いとも苦いともつかない臭いを捉えていた。
突然の爆発。得体の知れない臭い。方向からしても、 ...
もっと読む
カテゴリ:本編 > 文化祭準備編
34. 似ているのはその瞳
富月茶羅は木材を両手に抱え怖い顔をしながら廊下を歩いていた
と、言うのもあの後に無理矢理教室に連れ戻されたと思ったら今度は別棟にある木材を取ってこいと命令されたからだ
しかもここは無駄に広い学園
別棟は意外と遠い
しかもクラスメイトは茶羅を怖い奴だと思って ...
もっと読む
33. 早朝の中のしばしの和み
少年の高い声が朝の職員室前の廊下で響く。
「だ~か~ら~、僕は小学生じゃないんですぅ!
君達よりもずっと年上何ですよ。」
「はいはい、ここから初等部は遠いから、送っていくからね。」
「ボクの話を聞きなさ~い!!」
声の主はスーツを着た少年で数人の生徒に囲 ...
もっと読む
32. 平穏な空気は次の瞬間壊されました
廊下を男子校には似つかわしくない、女子制服に身を包んだ人物が歩いている。
その人物はある青年を見つけると顔に笑みを浮かべ、手を振り走り出した。
「おーい、れお君!」
ぱたぱたと走るリズムに合わせて短くされたスカートがひらひらと揺れる。
「葵ちゃん、どうか ...
もっと読む
31. 今は知らない人
部室の扉に手をかけた癒音は、そのまま動きを止めた。聞きなれない声が漏れてくる。
なにを話しているのかは聞き取れないが、沢村よりも張りのある朗々とした男の声である。
会話の邪魔にならないようにそう、と扉を開けると、背の高い男の背が見えた。
向き合っていた沢 ...
もっと読む